事故の真相を解く鍵は、生存者の手記とコックピット内のボイスレコーダーにある。


水平飛行から山腹への胴体着陸へ

18時40分、大月上空で機体のバランスが崩れ、右旋回しながら一周します。これを見た自衛隊機から、墜落による二次災害の危険を避ける指示が自衛隊機から出ます。

1 羽田(もちろん横田基地も)への帰還は断念する。
2 山腹を利用して胴体着陸をする。


山腹を駆け上がるように胴体着陸するなどアクション映画のような話に聞こえるかもしれませんが、その後の123便の行動や操縦室の会話などから、真剣にその行動に移したことが分かります。

18時42分 機内では、緊急着陸のための救命胴衣の着用が始まります。

この時間、落合さんは、自分の座席(56C)に戻り窓から富士山をみています。


そして、そのとき、窓の外のやや下方に富士山が見えたのです。とても近くでした。
このルートを飛ぶときに、もっとも近くに見えるときと同じくらいの近くでした。


123便は北西を向いていましたから、彼女の席からは富士山が見えたのでしょう。つまり、この時の高度はまだ5000mぐらいだったのではないでしょうか。

この後、123便は、山腹への胴体着陸のために高度を下げます。


18時48分 機長「山いくぞ」副操縦士「はい」
18時51分 (123便急降下)ストール。高度落ちた。スピードが出ています。どんといこうや。


123便は右方向に横流れしていましたから、この降下でキリモミ状態になったのではないでしょうか。落合さんは、機内の様子を下記のように書かれています。

そして、すぐに急降下がはじまったのです。まったくの急降下です。まっさかさまです。髪の毛が逆立つくらいの感じです。頭の両わきの髪がうしろにひっぱられるような感じ。ほんとうはそんなふうにはなっていないのでしょうが、そうなっていると感じるほどでした。 怖いです。怖かったです。思いださせないでください、もう。思いだしたくない恐怖です。お客様はもう声もでなかった。私も、これはもう死ぬ、と思った。

そして1500mぐらいの高度で水平飛行に戻り、機体のバランスをとりながら胴体着陸する斜面を探しながら、御巣鷹山までダッチロール飛行が続きます。