since 2012.05.03

炉心の冷却とは水位を維持すること


原子炉スクラム
非常用炉心冷却装置

最新のWikipediaの「原子炉スクラム」と「非常用炉心冷却装置」を読むと、いままでの議論が、基本的な段階で論理展開が滅茶苦茶であるような気がした。

というか、非常用炉心冷システム自体が、なにか氷のような冷却材を投入するシステムのように思われていている気がする。

その上で、非常用発電機を津波で失ったために、原子炉を冷却できなくなったという論調で、1号機も非常用発電機の喪失で原子炉を冷却できなくなったという記事もある。

しかし、原子炉スクラム後の非常用炉心冷却は、最新のWikipediaで調べると、目的は、核燃料棒の減速材である軽水の蒸発による圧力を逃がし、さらに失われた軽水をいかに補給するかということがわかる。

原子炉スクラムまたはスクラムとは、原子炉が緊急停止した状態、または、原子炉を緊急停止させることである。加圧水型原子炉では、原子炉トリップ(げんしろトリップ、英: reactor trip)ということがある。(wikipediaより引用)

原子炉の緊急停止とは、燃料棒と燃料棒の間に制御棒を差し込むことで、核分裂反応を瞬時に大幅に低下させることである。

原子力発電は、核反応で生まれる熱エネルギーを水を介することで水蒸気に変えてタービンを回すことで電気を得る。そして軽水炉といわれる原子炉では、核反応を制御するために軽水を減速材として用いる。

緊急停止した原子炉では、核分裂は瞬時に低下するが、崩壊熱と呼ばれる核分裂生成物の崩壊によって長時間(100時間を超えて)熱出力を保つ。したがって、減速材の軽水の蒸発は止まらない。

緊急停止時には、タービンプラントと切り離されるので、冷却材である軽水の循環システムが止まるので、隔離された原子炉内は蒸気により圧力が上昇する。

つまり、緊急停止時には、軽水の供給と圧力をどのように対処するかが必要となる。

1号機は、緊急時には原子炉は隔離されて、原子炉内の蒸気は配管を通って、水で満たされた復水器の中を通り、水に熱変換されて原子内に戻される。圧力の制御と軽水の供給を平行して行えるのが非常用復水器である。また、原子炉内には、非常用復水器の中の水を直接に原子炉に流し込むこともできる。



これに対して2号機は隔離されると、炉心の崩壊熱による蒸気が流れる配管の弁が開き、ポンプと連動するタービンが回される。このポンプによって圧力抑制プールから軽水が原子炉に供給される。



2号機は、電源でも注水システムが動くようになっているが、これは、ウラン濃縮の工程で拡散筒を圧縮したときの熱を取り除くためのシステムで、ウラン濃縮プラントとして原子炉を使う場合の設備であるが、非常用電源ともつながっている。

つまり、地震などで緊急停止したときに、崩壊熱による蒸気で回るタービンで、原子炉内の軽水が供給され水位を維持するが、崩壊熱が収まったあとに、電気でタービンを回して水位を維持しなければならなくなったときに、非常用ディーゼル発電機が必要となってくる。

つまり、1号機も2号機も、緊急停止直後には電源は不要であるのだ。2号機は電源があってもいいがなくても構わない。つまり、非常用電源はいらないということである。

外部電源も止まった福島第一原発では、2号機の崩壊熱で回る蒸気タービンが14日の午後には止まり、津波による非常用電源喪失の影響をうけたが、あくまで2号機の非常用電源は二次的なものであるということだ。

2013/11/18 追記

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