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3号機はプルトニウムの核爆発


1号機と2号機は発電プラントであるが、3号機と4号機の原子炉はウラン濃縮プラントであり、原子炉内には核燃料棒ではなく拡散筒が入れられていた。

これは、従来の六フッ化ウランガスを濃縮するだけではなく、六フッ化プルトニウムガスも同時に濃縮する新型の濃縮プラントであった。
特開2006-46967)

2011年3月11日に日本の東北を襲った地震は、新型の濃縮プラントの原子炉を襲った。4号機は停止中で、稼動していた3号機は地震で緊急停止した。

職員はメルトダウンが起きる心配も、使用済み核燃料ではなく、拡散筒が入れられている燃料プールの水素発生はないと判断していた。

しかし、13日の14時に3号機の原子炉内の温度が急上昇した。原子炉内の拡散筒を覆っていた軽水の水位は下がり、拡散筒が高温状態になっていた。

これは、チェルノブイリ事故と同じで、地震の揺れで拡散筒内の濃縮ウランが臨界が起こしたのである。

この臨界で原子炉内の温度が上昇し、軽水が沸騰して水素が発生する。

14日11時に、原子炉内炉内の濃縮中のプルトニウムを包むように水素爆発が起き、炉内でインプロージョン(爆縮型)の過早核爆発を誘発した。

原子炉はこの衝撃に耐え切れずに破壊。核爆発による衝撃波をともなう爆発がおきた。

インプロージョン型(wikipediaから引用)
インプロージョン型(英:Implosion)または爆縮方式は、英語のexplosion「爆発」という語のex-(外へ)という接頭辞をin-(内へ)に置き換えた造語で、「爆縮」はその和訳である。爆縮方式とはその名の通り、プルトニウムを球形に配置し、その外側に並べた火薬を同時に爆発させて位相の揃った衝撃波を与え、プルトニウムを一瞬で均等に圧縮し、高密度にすることで超臨界を達成させる方法である。長崎市に投下されたファットマンで採用された。 プルトニウムは自発核分裂の確率が高く、プルトニウム原爆は過早爆発防止の為にこの方式でのみ実用可能となるのに対し、ウラン原爆はインプロージョン型、ガンバレル型のどちらでも可能である。

過早爆発 (wikipediaから引用)
プルトニウム原爆において、反応材のプルトニウム240含有量が7%を超過、爆縮が不完全、軽量化のため爆縮火薬を削減しすぎた余裕のない設計、などの場合では、爆縮方式であってもプルトニウム240の自発核分裂の発生する外向きの爆風が、TNT爆縮火薬の内向きの圧力に打ち勝ってプルトニウム239の塊が充分に核分裂を完了する前に吹き飛ばしてしまう。この現象が過早爆発であり、プルトニウム239の一部しか核分裂しないため、爆発力が計画値を大幅に下回ってしまう。2006年の北朝鮮の核実験は過早爆発だったと見られている。


3号機の爆発は2回続けて起きているが、1回目は原子炉内の水素爆発で、二回目は、原子炉内での水素爆発で、炉の中心にあったと思われるプルトニウムが、インプロージョン(爆縮)により核爆発を起こした。ただし、この核爆発は、不完全な過早爆発である。

福島第一原発では、発電プラントとしての原子炉事故とウラン濃縮プラントの原子炉事故が同時におきたのである。そして、チェルノブイリ同様に、臨界を引き起こしたのは地震である。地震による揺れで臨界が発生し、チェルノブイリでは、拡散筒が干渉することで広島に落とされた原爆と同じガンバレル型の核爆発がおきた。

これに対して、福島第一原発では、水素爆発が、濃縮中のプルトニウムを核爆発させた長崎の落とされたインプロージョン型の核爆と同じ爆発を引き起こしたのである。

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