ウランとプルトニウム

ウランとプルトニウムの違い


天然ウラン(ウラン鉱石)には、ウラン238が約99.3%、ウラン235が約0.7%含まれている。このうち、ウラン235は核分裂の連鎖反応をおこす。ウラン238は劣化ウランとして核の廃棄物である。核分裂を利用した核兵器は、ウラン235が90%以上の濃度が必要となる。

プルトニウムは自然界には存在しない。核分裂の連鎖反応を起こさないウラン238の原子核に中性子をぶつけると、中性子が原子核に吸収され、238、239、240、241、242、240のプルトニウムが形成される。

この中で、ウラン238と同様に、核分裂の連鎖反応を起こすのプルトニウム239である。核兵器として使用するには、プルトニウム239の純度が90%以上必要となる。

黒鉛炉や重水炉で、短時間ウラン235を核分裂させると、高濃度のプルトニウム239が形成されるが、軽水炉では、軽水が中性子を捕獲するので、プルトニウム240の割合が高くなり濃度は80%ぐらいに下がる。

ウラン235の分離


ウラン鉱石に、0.7%含まれているウラン235の濃度を高めることを濃縮という。採掘されたウラン鉱石は、イエローケーキといわれるウラン精鉱に精製され、六フッ化ウランというガスに転換される。転換された六フッ化ウランガスは、機械処理されてウラン235の純度が高められる。機械処理の方法としては、ガス拡散法、遠心分離法、レーザー分離法、化学法濃縮法などがある。いわゆる「濃縮ウラン」といわれるのはウランの分離でありプルトニウムと混同してはならない。

プルトニウムの分離


プルトニウム239は、240が含まれると核分裂をするまえに爆発を起こす。商用原子炉で、取り出される原子炉級プルトニウムを、遠心分離機にかけても99%以上のプルトニウム239の純度は達成できない。従って、プルトニウム単体を燃料とすることはできない。
商用原子炉で取り出される原子炉級プルトニウムを二酸化プルトニウムに転換し、劣化ウランなどと混同して燃料とするMOX燃料としての再利用がある。プルサーマルといわれている技術がある。

従って、遠心分離法などの分離技術で取り出されるプルトニウムは90%の濃縮で使われる核兵器への再利用が目的となる。

臨界量の低下はプルトニウム需要低下へ


広島と長崎に落とされたウラン235とプルトニウム239の臨界量は、ウラン235を46.5㎏、プルトニウム239を10.1㎏といわれていますが、最新の技術では、ウランは3kg、プルトニウムは1㎏まで小さくなったとされています。

両者の臨界量の低下は、製造原価においてプルトニウムが有利であったことの崩壊を意味しています。毒性が強く、取り扱いが難しいプルトニウムの需要は低下し、天然ウランの利用度が高まる傾向にあるといえます。