IAEAがもった劣化ウランの疑念

疑念の核心は劣化ウラン


3.11の東日本大震災の1か月前の2月、国際原子力機関は、査察対象となっている日本の原子力関連施設の核物質報告漏れについて、日本側に「深刻な懸念」を伝え、通常は査察の対象にしない廃棄物を検査したいと異例の申し入れをしています。そして、2011年の11月になって、政府は、査察の対象となっている濃縮ウランやプルトニウムなど核物質が廃棄物から大量に見つかったとして、政府は国際社会の批判を避けるためIAEAへの申告を急ぎ、水面下で協議を始めたとの記事でした。

以上の内容が共同通信から昨年の12月に記事として報道されていますが、同年の8月の週間朝日は、「全国に放置される劣化ウランの恐怖」の記事をスクープとして出しています。さらに、昨年8月26日に経済産業省は、福島第一原発から放出された核種と広島原爆で放出された核種の試算表を発表しています。

共同通信の記事では、2月にIAEAが指摘したのは、通常は査察の対象にしない廃棄物を検査したいと異例の申し入れであったのに、12月の記事では、査察対象となっている濃縮ウランやプルトニウムなど核物質の大量の発見だとしていますが、8月の経済産業省の放出された核種の試算表が出ていて、週間朝日が劣化ウランのスクープを発表してることから、やはり、問題の核心は劣化ウランではないでしょうか。

8月の経済産業省が発表した原発事故で放出された核種の試算表も、12月の高濃縮ウラン約2・8キロ、原子力燃料製造企業で約4トンの低濃縮ウランがそれぞれ未計量だったという発表は、IAEAが問題視した劣化ウランの存在と深くかかわることを意味しています。

政府は、いつもの東大話法でごまかしていますが、東大話法の欠点は、どこかで事実を入れ込んでいることです。つまり、巧妙に情報を隠蔽しつつ、公務員の情報隠匿の罪への配慮をしています。しかし、この東大話法と官僚文法を理解していれば、彼らが何を企んでいるのか見破れるのです。