屋根上作業に無足場工法を

TOPビレイループ式胴ベルト型安全帯命綱のアンカーシステム

ATCタイプかエイト環かの議論について


以前から気になっていたのですが、ロープを利用して下降する時に、エイト環かATCタイプの器具について、エイト環の方が制動力が強いような記事が目に付きます。

そのような記事では、エイト環の方が、制動する際のロープの接地面積が大きいからと書かれていています。しかし、ロープでの下降時の制動は、接地面積ではなく、ロープの屈折によるものではないでしょうか。

ATCタイプでの制動では、ロープの流れは同じ方向で器具の出し口では、不正確ではあるが300度ぐらい屈折しています。この屈折がロープの流れを止ているということを理解するべきです。

ロープの結びを考えてほしいのですが、ロープの結び目は、ロープが引き合う方向と直角に近い角度でロープが捻じ曲がっている結び目ほど強い結び目となります。なおかつ、引き合う方向でロープは直線になっている必要がありあす。

だから、2本のロープを結束する場合に「8の字結び」はしてはいけません。ロープを引き合ったときに、ロープが直線にはならず、ロープ同士の間に空間ができるからです。この場合にロープは解けます。ハーネスとの結束の場合に「8の字結び」が使われるのは、ロープの片側にテンションがかかった場合に有効となる結び方となります。

ロープによる下降では、ロープがロックせず、止まりたいときに止められなければなりません。ATCタイプでは、ロープの屈折を解放することでロープが流れ、ロープに屈折を与えることで制動がかかります。この意味でATCタイプの場合には、ロープを引くことよりも、ロープを引く角度が重要になります。

エイト環の場合も、ロープを引くことで屈折率が高くなり制動が係るのであり接地面積は関係ありません。エイト環の場合に、構造上、ロープは捻じれながら屈折していくますのでキンクが起こります。

しかし、最大の屈折率がATCタイプと比べて低いので、停止時のときにロックすることがなく停止の衝撃が低くなります。この停止時のロックの衝撃が低いために、人命救助のレスキューではエイト環が多用されます。

一般的は懸垂下降の場合には、キンクすることによる事故の危険性を考えると、システムがシンプルであり、ロープの繰り出しがストレートなATCタイプの器具の方が適していると思います。

2013/1/22

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