参考資料

*衆議院のホームページの「国会について」を編集し直したものです。

国会とは

 1  国会の地位
 2  国会の組織
 3  国会の権限
 4  議員の地位
 5  召集と会期
 6  開会式
 7  施政方針演説
 8  本会議と委員会
 9  議案の審議
10  両議院関係
11  国政調査
12  閉会中審査
13  請願
14  参議院の緊急集会
15  裁判官訴追委員会

1 国会の地位

 日本国憲法は、主権が国民にあることを宣言し、国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が受けるものであることを明らかにしています。

 そして、国会は、新しい憲法のもとでは国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であると定められました。旧憲法の当時のように、主権が天皇にあって、議会は天皇が持つ立法権の協力機関にすぎなかったのに比べますと、その地位は全く変わりました。

 国会は、行政を担当する内閣と非常に密接な関係を持っています。内閣総理大臣は、国会において国会議員の中から選ばれ、また、内閣総理大臣が各国務大臣を任命する際は、その過半数 は国会議員でなければならないことになっています。このよう にして組織される内閣は、国会に対し連帯して責任を負うものとされており、もし、衆議院で不信任を決議されたときは、衆議院を解散するかあるいは総辞職するかしなければなりません。なお、内閣は、国民の意思を確かめる必要があるときには、衆議院を解散することがあります。

 このような内閣の組織と存続の基礎を国会に置く制度を議院内閣制といいます。この制度のもとでは、原則として衆議院で多数の勢力を持つ政党を基礎に内閣がつくられることになります。

2 国会の組織

 国会は、衆議院および参議院の両議院で構成され、両議院とも全国民を代表する選挙された議員で組織されます。

 衆議院議員の選挙権は満20歳以上の、被選挙権は満25歳以上の男女に、いずれもひとしく与えられています。また、参議院議員については、選挙権は衆議院議員の場合と同様ですが、被選挙権は満30歳以上の男女に与えられています。

 衆議院議員の定数は480人で、うち300人は小選挙区制によって、180人は比例代表制により全国を11に分けた各選挙区から選出されます。参議院議員の定数は252人で、うち100人は比例代表制によって、152人は都道府県を単位とする47の選挙区から選出されます。(平成13年の選挙から247人、平成16年の選挙から242人に変更されます。)

 国会議員の任期は、憲法によって、衆議院議員については4年、また、参議院議員については6年(3年ごとにその半数が改選される。)と定められています。

3 国会の権限

 国会は国の唯一の立法機関でありますから、言うまでもなく 法律を制定することが最も重要な役目ですが、そればかりではなく、予算その他国の財政に関する議決をすること、条約の締結を承認すること、内閣総理大臣を指名すること、憲法の改正を発議することなどの役目を持っています。
 衆議院および参議院は、共同してこのような国会の権限を行使するほか、一方では、各議院は、他の議院と関係なく独立して行使する権限を持っています。

 各議院はそれぞれ国政についての調査を行い、これに関して証人の出頭、証言や記録の提出を求めることができます。また、国民からの請願を受けて、これを審議します。

 さらに、各議院は、議長・副議長・常任委員長などの役員を本会議において選挙します。なお、各議院において必要があると認めたときは、特別委員会を設置することができます。

 各議院は、そのほかに議院の会議や内部の規律などについて規則 をつくったり、院内の秩序をみだした議員があるときには懲罰を加えることなどができます。 

4 議員の地位

 国会議員は、主権者である国民の信託を受け、全国民を代表して国政の審議に当たるという重要な職責をになっています。この職責を果たすために、議員は、法律案や決議案を提出し、国政全般について内閣に質問し、また、予算・条約・法律案などの議案について、質疑したり、討論したり、表決に加わったりします。

 国会議員は、その正しいと信ずるところに従い、何ものにも拘束されないで自由に意見が発表できなくては、その任務を果たすことはできません。そこで、議員は、法律で定めた場合のほか、国会の会期中は逮捕されず、また、議院で行った演説、討論または表決について院外で責任を問われないという2つの特権が憲法で認められています。 

5 召集と会期

 国会の召集は、内閣が決定し、召集詔書の公布により行われます。そして、国会には常会・臨時会・特別会の3つの種類があります。

 常会は、毎年1回1月中に召集されますが、これは、次の年度の国の総予算やこの予算を実行するのに必要な法律案を審議する重要な役目を持ったものであります。常会の会期は、150日間と定められています。

 臨時会は、臨時に必要があるとき、例えば、緊急を要する災害対策のための補正予算や法律案の審議を求めるときなどに、内閣がその召集を決めますが、どちらかの議院の総議員の4分の1以上から要求があったときには、内閣はその召集を決めなければなりません。また、衆議院議員の任期満了による総選挙や参議院議員の通常選挙後には、必ず臨時会を召集しなければならないことになっています。

 特別会は、衆議院の解散による衆議院議員の総選挙後に召集される国会です。この特別会では、召集日に、衆議院はまず議長・副議長・常任委員長の選挙など議院の構成を決めますが、召集とともに内閣が総辞職しますので、両院において内閣総理大臣の指名が行われます。

 臨時会と特別会の会期は、そのつど国会が決定します。また、会期は、常会においては1回、特別会と臨時会においては2回まで延長することができます。

 なお、国会の呼び方について、例えば、第148回(特別)国会などといわれますが、これは、第1回国会から常会・臨時会・特別会を区別しないで開かれた順に数えて第148回目の国会であり、またこの第148回目の国会が特別会であるということを示します。臨時会のときは、同じように第149回(臨時)国会というように呼ばれますが、常会のときは、第151回国会というように呼んで、特に常会であることを示すことばを用いません。

6 開会式

 開会式は、会期のはじめに両議院の議員が参議院の議場に集まり、天皇陛下をお迎えして行われ、その際、衆議院議長が両議院を代表して式辞を述べ、天皇陛下からおことばを賜るのが例であります。

 開会式は、常会では1月下旬に、特別会では新内閣の組閣が完了した後、臨時会では召集日から数日以内に行われるのが例になっています。 

7 施政方針演説

 開会式の後に国務大臣の演説が両議院の本会議で行われます。

 常会では、内閣総理大臣が施政方針演説をするほか、外務大臣、財務大臣、経済財政政策担当大臣が演説し、特別会と臨時会では、 内閣総理大臣と場合によって他の大臣が演説するのが例になっています。これらの演説に対し、各党を代表する議員が質疑し、 内閣総理大臣はじめ各大臣の答弁があります。

8 本会議と委員会

 各議院では本会議と委員会が開かれます。

 本会議は、その議院の議員全員の会議であり、議院の意思は ここで決定されます。本会議は、公開が原則であり、本会議を開くには総議員の3分の1以上の出席が必要です。その議事は 特別の場合を除いて出席議員の過半数の賛成で決められます。また、本会議は、通常、衆議院では火・木・金曜日の午後1時、参議院では月・水・金曜日の午前10時から開かれます。

 委員会には常任委員会と特別委員会とがあります。

常任委員会は、国会法で定められている常設機関で、衆議院には次の17の委員会(参議院も名称は異なりますが同数の17委員会)が置かれています。


内閣委員会 総務委員会 法務委員会 外務委員会 財務金融委員会 文部科学委員会 厚生労働委員会 農林水産委員会 経済産業委員会 国土交通委員会 環境委員会 安全保障委員会 国家基本政策委員会 予算委員会 決算行政監視委員会 議院運営委員会 懲罰委員会 


 議員は少なくともその一つの常任委員となることになっており、委員の員数は衆議院ではいちばん多いのが予算委員会の50人で、その他の委員会は20人から45人までとなっています。

 特別委員会は、会期ごとに各議院において必要と認めたときに、その院の議決で設けられ、委員の員数や所管もそのとき決められます。したがって、両議院に設けられた特別委員会が、その目的・名称・委員の員数など一致するとは限りません。特別委員会は付託された案件がその院で議決されれば自然消滅するたてまえになっています。閉会中審査をすることになった場合には、閉会中も存続しますが、次の国会の召集の前になくなることになります。委員の員数は、これまでの例では、衆議院では25人の場合が最も多く、40人・50人の場合もありました。

 常任委員と特別委員は、各党の所属議員数の比率に応じて各党に割り当て、各党から申し出た者について議長の指名によって選任されます。常任委員長は本会議で選挙され、特別委員長はその委員会で互選されることになっています。なお、委員会には数人の理事が置かれ、委員長の代理をするほか委員会の運営について協議します。

 委員会は、予算・条約・法律案などの議案や請願などを専門的に詳細にわたって審査し、また、それぞれ所管する事項について国政調査を行います。常任委員会の中で特殊なものは、国家基本政策委員会、予算委員会、決算行政監視委員会、議院運営委員会などです。


国家基本政策委員会は、国家の基本政策について内閣総理大臣と野党党首との一対一の討論の場として設置されました。

予算委員会は、国の歳入歳出の予算の審査をしますが、その際、内閣総理大臣はじめ全部の国務大臣の出席を求め、国政の全般について各党の代表委員が質疑するのが例になっています。

決算行政監視委員会は、衆議院における行政監視機能の充実強化を図るために設置されました。

議院運営委員会は、本会議の開会の日取り、その議事の順序、発言者と発言時間その他議院の運営に関するあらゆる事項を協議する重要な任務を持っています。


委員会を開くには委員の半数以上の出席が必要で、その議事は出席委員の過半数の賛成で決められます。なお、委員会は、報道関係者その他の者で委員長の許可を得たものは傍聴できます。


9 議案の審議

 法律案は、議員からも内閣からも提出されますが、予算や条約は、内閣から提出されます。

 各議院において、議員が法律案を提出するには、衆議院では20人以上(参議院では10人以上)の賛成者がなければなりませんが、特に、予算に影響を及ぼすような法律案については、衆議院では50人以上(参議院では20人以上)の賛成者が必要です。

 また、各委員会も、それぞれ所管事項について、法律案を提出できます。この場合には賛成者を必要としません。

 内閣が法律案や条約を国会に提出するときには、衆議院か参議院のいずれかに提出しますが、予算については、法律案や条約と異なり衆議院に提出しなければならないことになっています。

 議案が提出されると、議長は、その議案を所管する委員会に付託します。委員会では、まず、議員提出の議案ならその提出者から、また、内閣提出の議案ならその担当国務大臣から、提案の理由や議案の内容について説明を聴きます。次いで、質疑に入り、各委員が提出者や国務大臣その他の政府関係者などに1問1答の形式で疑問の点をただしたり、それらの人たちの考え方を聴いたりします。議案によっては、この質疑に何日もかかることがあります。

 また、この委員会審査の段階で、必要があるときは参考人を招いて意見を聴くこともあります。場合によっては、委員会の中に小委員会を設けたり、関係のある他の委員会と連合審査会を開いたりして審査に万全を期します。特に、総予算および重要法案については、一般の利害関係者や学識経験者などを招いて意見を聴くことになっています。これを公聴会といい、この場合意見を述べる人を公述人といいます。

 こうして質疑の段階が終わると、各党の委員が、それぞれの立場から議案に対して反対である、あるいは賛成であるという態度の表明を行います。これが討論です。討論が終わると、次に、採決をして議案に対する委員会の意思を決定します。

 委員会の審査が終わると、その議案は本会議の審議に移されます。本会議では、まず、その議案を審査した委員会の委員長からその内容、委員会の審査の経過および結果の報告があります。そのあと、あらかじめ各党を代表する議員の質疑や討論の申し出があった場合にはその発言が終わった後に、申し出のない場合には直ちに、採決によってその可否を決します。

 採決には、議長が「御異議ありませんか。」とはかる方法、賛成者の起立を求める方法、記名投票による方法(参議院ではほかに押しボタン式投票による方法)があります。記名投票は、議長が必要と認めたとき、または出席議員の5分の1以上から要求があるときに行われ、賛成の議員が白票を、反対の議員が青票を持参して演壇に置かれた投票箱に投入する方法で、一般に「堂々めぐり」と呼ばれているものです。なお、内閣総理大臣の指名も記名投票で行われますが、この記名投票は、あらかじめ、議場に配付された投票用紙を用い、これに選ぼうとする人の氏名と投票者自身の氏名を記載して投票することになっており、議案の採決の場合と異なる方法で行われます。

 以上述べましたように、議案は、まず委員会で審査し、その審査が終了した後、本会議で審議するのがたてまえになっています。わが国の国会が委員会中心制に立っているといわれるゆえんです。

 もっとも、議案について、委員会の審査に入る前にあるいは委員会の審査の途中でも、本会議でその議案の趣旨の説明を聴くことができることになっています。すなわち、重要議案などで議院運営委員会が特に必要があると認めた場合に、議案を提出した議員あるいは内閣提出の議案についてはその担当国務大臣から、本会議において、その趣旨の説明を聴き、これに対して質疑をすることがあります。

 このようにして、一院を通過した議案は、他の議院に送られ、その議院においても同じ手続で審議が行われます。 

10 両議院関係

 国会の意思が成立するには両議院の議決の一致が必要です。例えば、ある法律案を衆議院で可決したときは、参議院に送付し、参議院がこれを可決したときに法律となります。また、参議院でその法律案を修正したときには、もとの衆議院に回付し、衆議院がその修正に同意したときに法律となります。両議院の議決が一致しない場合に、両議院の意見を調整するため両院協議会を開くみちがあります。

 法律案・予算・条約・内閣総理大臣の指名について両議院の意思が一致しない場合には、憲法上一定の要件のもとに衆議院の優越が認められています。法律案は、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合に、衆議院において出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば法律となります。予算・条約・内閣総理大臣の指名について両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が一定期間内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります。

11 国政調査

 各議院は、法律をつくるためや行政を監督するために、それぞれ国政についての調査を行うことができます。この国政調査は、各議院の委員会によって行われており、常任委員会は、会期ごとにその所管の範囲内で調査する事項を決めて議長の承認を得て行い、特別委員会は、付託された調査案件について行います。

 国政調査の方法は、政府当局や関係者から説明を聴いたり、資料を要求したりして行います。場合によっては、委員会の中に小委員会を設けたり、証人を呼び出したり、委員を派遣して調査することもあります。

 衆議院の委員会は、審査又は調査のため、事務局の調査局長又は法制局長に対して必要な調査を命ずることができます。また、40人以上の議員の連名があれば委員会に対して、調査の命令を発するよう要請できることになっています。


会計検査院に対して、特定事項の検査を要請し、その結果の報告を求めることができます。
 委員会は、調査の結果、法律案を作成して提出することがあります。

12 閉会中審査

 国会は、会期が終了すると閉会になりますが、各議院の常任委員会と特別委員会は、その議院の議決があれば閉会中でも審査を行うことができます。この議決によって、各議院の委員会は、閉会中も会議を開いたり、委員を各地に派遣したりして、審査または調査を行っています

13 請願

 各議院はそれぞれ請願を受け付けています。請願は、憲法で保障された国民の権利であり、国会に提出されるものはその一つです。請願しようとする者は、議員の紹介によって請願書を各議院の議長あてに提出します。提出された請願は所管の委員会で審査のうえ、その内容が妥当と思われるものは採択され、その中で内閣において措置することが適当と認めたものは内閣に送られます。内閣は送られた請願の処理経過を毎年各議院に報告することになっています。

14 参議院の緊急集会

 衆議院が解散されると、参議院は同時に閉会となって、国会の活動は停止されます。しかし、この場合において、国に緊急の必要があるときは、内閣は、参議院の緊急集会を求めることができます。緊急集会でとられた措置は、参議院の議決だけで行った臨時のものですから、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意が得られなければ、その効力を失うことになっています。参議院の緊急集会は、今までに2回開かれたことがあります。

15 裁判官訴追委員会
  
【訴追請求状記載要領】 

●訴追請求状の提出先 
〒100−8982 東京都千代田区永田町2−1−2
衆議院第二議員会館内 
 裁 判 官 訴 追 委 員 会 

●問い合わせ先 
 裁判官訴追委員会事務局総務課
  電話 03−3581−6168