12月31日(火) 賃上げではなく、企業ごとの労働分配率を争点とすべし
今年2月、連合などが、公務員制度改革大綱が、「労働側との十分な協議がなく決められた」「現行の労働基本権制約が改善されず、代償措置である人事院の権限も縮小される」などとして国際労働機関に提訴していたが、これを受けて、国際労働機関は、日本政府に対して、スト権一律禁止など、公務員制度改革大綱は公務員の労働基本権を制約しているとして、見直しを求める勧告を採択した。
たしかに労働基本権の原則は重く、一般公務員のスト権はあってしかるべきだろう。ただ、問題は、何を争点としてスト権を行使するかではないだろうか。サービス残業や一方的な解雇には口をださず、賃上げしか主張しない自治労などの労働組合員がスト権を発動して、市民へのサービスを一方的に放棄していいのだろうか。
財政が破綻している国や地方の公務員が、財源もないのに賃上げを要求し、賃下げに反対することが、労働基本権の行使といえるのだろうか。そうではなくて、賃金問題に関しては、労働分配率を問題にするべきであり、会社の財務指標などの情報公開を求め、労働分配率を争うべきであろう。
会社側が、財務の情報公開をしないときは、情報公開を求めてスト権を行使したり、サービス残業などにたいする会社側への抗議をストという行為で訴えるのは、国民の理解を得られるだろうが、ただ賃上げを目的にスト権を行使するのは、国民の理解を得られない。
賃金に関しては、企業ごとに、適正な労働分配率をもとめるべきだろう。労働者は企業の奴隷ではなく、高い賃金を求める自由がある。横並びの賃上げ闘争などは、この自由を奪う行為であり、現実的に、大企業や公務員などの労働者という既得権益層の権益を守るものでしかない。
現在の連合などは、大企業や公務員などの既得権益者のための組織でしかなく、リストラの名のもとに理不尽な解雇や、サービス残業にたいして、労働者を守ったことがあるだろうか。野党第一党の国会議員のための通過点でしかない連合の幹部には、賃上げ闘争でいかに名を上げるかしか、その眼中にはなく、労働者の雇用環境などには関心がない。
こんな連中の中の、公務員で組織する自治労などに、スト権を与えるなど、国際労働機関は、既得権益層としての日本の労働組合の組織の実態が見えていない。自治労などにスト権をあたることは、泥棒に鍵を預けるようなものでしかないのは明々白々ではないか。
労働組合は、サービス残業の抑止、そして不当解雇の労働者側の援護など、労働環境の改善に努力するべきであり、賃金に関しては、企業ごとの労働分配率を争点として、企業の財務の情報公開を求めるべきであろう。
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